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英語多読のすすめ:中級の壁を越えて洋書を楽しむ方法

英語多読で中級の壁を越える方法を解説します。日本語話者がつまずく冠詞や語順、和製英語の落とし穴、A2からC1までのレベル別の英文例、音声と組み合わせた毎日の読書プラン、最初に読みたい名作まで。洋書を自分のレベルで楽しく読み通すための実践ガイドです。朗読つきで名作を読めるアプリLexoも紹介します。

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中学から大学まで、英語を何年も勉強してきた。文法はひととおりわかるし、TOEICの点数もそれなりにある。それなのに洋書を開くと、3ページで疲れて閉じてしまう。多くの日本人学習者がぶつかる「中級の壁」です。

この壁を越えるいちばん確かな方法は、新しい文法書ではありません。自分のレベルに合った物語を、たくさん読むことです。英語学習の世界で「多読」と呼ばれてきた方法です。

なぜ多読で中級から上級へ進めるのか

中級になると、足りないのは文法ではなくなります。足りないのは、本物の英語に触れる時間です。同じ単語が何千もの文の中で、違う文脈で何度も現れる。そのうちに、頭の中で訳さなくても意味がわかるようになります。

研究も同じ方向を指しています。スティーブン・クラッシェン(Krashen 1982, Principles and Practice in Second Language Acquisition)は、言語はルールの暗記ではなく、メッセージを理解することで身につくと論じました。Hu & Nation(2000, “Unknown vocabulary density and reading comprehension”)は、物語を辞書なしで十分に理解するには、文中の単語の約98%を知っている必要があると報告しています。知らない単語は50語に1語という計算です。さらにポール・ネーション(Nation 2006, “How large a vocabulary is needed for reading and listening?”)は、生の英文を楽に読むには8,000〜9,000ワードファミリーの語彙が必要だと見積もっています。

この語彙量を授業だけで身につけるのは無理があります。だからこそ多読です。Day & Bamford(1998, Extensive Reading in the Second Language Classroom)が示した多読の考え方はシンプルで、やさしい本を、たくさん、自分で選んで楽しく読むこと。日本の多読の世界でよく知られる三原則、「辞書は引かない」「わからないところは飛ばす」「つまらなくなったらやめる」も同じ精神です。

日本語話者が英語でつまずくところ

冠詞と数。 日本語には a も the もありません。I saw a cat. The cat was black. 最初に出てくるときは a、すでに話に出たものは the。理屈では知っていても、使い分けが身につくのは大量の英文に触れてからです。数にも注意が要ります。I like dogs は「犬が好き」ですが、I like dog と言うと「犬の肉が好き」と聞こえかねません。

語順と後置修飾。 日本語は「昨日買った本」と修飾語が前に来ますが、英語は the book I bought yesterday と後ろから説明を足します。学校で身についた、後ろから訳し戻す「返り読み」の癖があると、長い文ほど遅くなります。多読では英語の語順のまま、前から意味をとっていく練習になります。

主語の it。 日本語では「雨が降っている」に主語の代名詞は要りませんが、英語は It’s raining. と必ず主語を置きます。

和製英語の落とし穴。 Mansion は「マンション」ではなく大邸宅です(集合住宅は apartment)。Claim は「クレーム(苦情)」ではなく「主張する」で、苦情は complaint。Smart は「細身」ではなく「頭がいい」。Naive は「繊細」ではなく「世間知らず」です。

時制とアスペクト。 「ここに3年住んでいる」は I have lived here for three years。日本語の「〜ている」は、英語では現在完了にも進行形にもなります。

句動詞。 Give up(あきらめる)、put off(延期する)、run into(偶然出会う)、look forward to(楽しみにする)。小説には句動詞があふれていて、単語帳よりも物語の中のほうがずっと覚えやすいものです。

発音とつづり。 L と R(light と right)、th の音、子音で終わる語に母音を足してしまう癖(milk が「ミルク」になる)。さらに Check it out が「チェケラウ」のようにつながって聞こえる音の連結。つづりも当てになりません。though、through、tough、thought は形が似ていて、音はばらばらです。だからこそ、音声を聞きながら読む価値があります。

レベル別に見る英語の読書

同じ『不思議の国のアリス』の冒頭を、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の4つのレベルで書くと、こう変わります。各レベルの詳しい説明は /levels にあります。

A2(初級)。 短い文、現在形や過去形、日常的な単語。

Alice is sitting by the river with her sister. Her sister is reading a book. The book has no pictures. Alice is bored.

すべてが見通せる英文です。a book が次の文で The book になっていることに注目してください。冠詞の使い分けの、いちばん基本の形です。

B1(中級)。 文が長くなり、動名詞や接続詞でつながります。

Alice was sitting by the river with her sister, and she was getting very tired of having nothing to do. She looked at her sister’s book, but it had no pictures in it.

Get tired of ~ing は「〜に飽きる」。having nothing to do は「することが何もないこと」です。

B2(中上級)。 過去完了や関係代名詞の省略など、書き言葉らしい構造が増えます。

Alice was beginning to get very tired of sitting by her sister on the riverbank with nothing to do. Once or twice she had looked into the book her sister was reading, but it had no pictures or conversations in it.

The book her sister was reading は「姉が読んでいた本」。関係代名詞が省略され、説明が後ろから加わっています。

C1(上級)。 ルイス・キャロルの原文にごく近い英文です。

Alice was beginning to get very tired of sitting by her sister on the bank, and of having nothing to do: once or twice she had peeped into the book her sister was reading, but it had no pictures or conversations in it.

ここでの bank は銀行ではなく「土手」。Peeped into は「のぞき込んだ」。辞書の最初の訳語では読めない英語が、C1の手ごたえです。

毎日の多読プラン:読むと聞くを同時に

1日30〜40分で十分です。大切なのは毎日続けることです。

  1. まず聞く(10分)。 章の朗読を流し、目で文字を追います。止まらずに、英語のリズムと実際の発音をつかみます。
  2. 自分のペースで読む(15〜20分)。 もう一度最初から読みます。単語をタップするのは、その文の意味がわからなくなったときだけ。筋が追えているなら、そのまま先へ。
  3. 耳で復習する(5〜10分)。 通勤電車や散歩の途中で、読んだばかりの章を文字なしで聞き直します。驚くほど聞き取れるはずです。
  4. 表現を3つだけ書き留める。 20個ではなく3つ。句動詞をひとつ、よく使う語の組み合わせをひとつ、気に入った一文をひとつ。

聞きながら読むことには裏づけもあります。Stuart Webb と Anna Chang の研究(2015, “Second language vocabulary learning through extensive reading with audio support”)では、音声つきでレベル別の本を読んだ英語学習者が、読み進めるうちに語彙を身につけていました。とくに、くり返し出てくる単語ほど定着していました。

レベルを上げるタイミングは、ほとんどタップせずに章を読み終えられ、読書が楽に感じられるようになったとき。退屈ではなく「楽」が合図です。多読では「100万語」をひとつの目標にする人も多いですが、数字よりも、楽しく読み続けられているかを目安にしてください。

最初に読みたい名作

先が気になって、ページをめくる手が止まらなくなる物語を選びましょう。

約100冊の全カタログは /books で見られます。

多読の定番として長く親しまれてきた、Oxford Bookworms や Penguin Readers などのグレーデッド・リーダー(レベル別読み物)も、すぐれた選択肢です。Lexoは、その考え方を名作の長編で、音声と語注つきで味わえるようにしたものです。

Lexoでできること

Lexoは、学びたい言語で名作小説を読むためのiPhone・iPadアプリです。物語はA2からC2まで、あなたのレベルに合わせて書き直されています。どの本にも5つのレベルがあり、C1は原作にごく近い文章、C2は原作の全文です。レベルは本ごとに選べます。

  • 日本語での説明。 どの単語でもタップすると、辞書の訳語を並べるのではなく、その文の中での意味が表示されます。原形と品詞、その単語を含む句動詞や慣用句の意味、文全体の日本語訳もあわせて確認できます。
  • 全編の朗読。 本は最初から最後まで朗読され、登場人物ごとに声が変わります。聞いている箇所は1語ずつハイライトされます。単語だけを再生することもできます。
  • 1文ずつ読むモード。 1文ずつ、音声と訳つきで表示するモードがあります。難しい箇所に向いています。
  • 単語リスト。 覚えておきたい単語を保存できます。
  • 初版。 まだ存在しない版も少なくありません。ある本をあるレベルで最初に希望した読者のために、Lexoはその版を書き上げます。第1章は数分で読めるようになり、続きは読んでいるあいだに届きます。日付入りの「初版」の印も手元に残ります。
  • オフライン、アカウント不要。 本は端末にダウンロードされ、購入はApple IDで行います。

Lexoは現在ベータ版で、まもなくApp Storeで公開予定です。公開をお知らせしてほしい方は、こちらから登録してください。アプリについては日本語のトップページもご覧ください。

よくある質問

英語の本はどのくらいのレベルから読めますか?

思っているより早くから読めます。A2レベル向けに書かれた版なら、A2の段階で十分に読めます。目安は、辞書なしでほぼすべての単語がわかること。1行ごとに止まってしまうなら、レベルをひとつ下げましょう。

多読では辞書を引かないのが原則ですが、単語をタップしてもいいのですか?

多読の原則がめざすのは、読む流れを止めないことです。Lexoでは単語をタップすると、その文の中での意味がその場でわかり、すぐに本文へ戻れます。とはいえ、話の筋がわかるなら、タップせずに読み進めるのがいちばんです。

Lexoの説明は日本語ですか?

はい。単語をタップすると、その文脈での意味、原形と品詞、その単語を含む熟語や慣用句の意味、そして文全体の日本語訳が表示されます。アプリの画面表示も日本語です。

リライト版は誰が書いているのですか?

リライト、語の説明、翻訳、朗読は、CEFRのレベル記述を指針にしたAIモデルで作成し、自動チェックをかけています。物語は、パブリックドメインとなった原作の古典そのものです。

料金はいくらですか?

ローンチ時の予定価格は、1冊(1作品・1言語・1レベル)4.99米ドル、すでに持っている本の別レベルは1.99米ドルです。Lexo Plusは月額4.99米ドルで、毎月2クレジットが付与され、最大8まで繰り越せます。日本のApp Storeでの価格は異なる場合があります。

どの端末で使えますか?

iOS 18以降のiPhoneとiPadで使えます。Lexoは現在ベータ版で、まもなくApp Storeで公開予定です。公開時のお知らせを受け取る登録ができます。

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